など。
いくつかの一項動詞は複数形を持つ。as「私」という人称接語がそのような動詞に付くと、意味の上で単数にもかかわらず、複数形となる。
ばらばらにすると動詞としての機能を失うような形を, [動詞語基]という。 動詞語基は自動詞的、または他動詞的のどちらかである。 自動詞語基は、単独では一項動詞となる。 他動詞語基は単独では二項動詞となる。 動詞語基は、さまざまな接辞、名詞や他の動詞語基が付けられて、 派生動詞や、合成動詞になる。 付加された動詞語基は合成された動詞のなかで副詞として働く。 (単語集のcxi-sana-san-keを参照。) 次の例はアイヌ語の豊かな派生語と動詞形成を示唆する。
自動詞語基 | raj | |
---|---|---|
一項動詞 | raj | 「~は死ぬ」 |
二項動詞 | raj-ke | 「~は~を殺す」 |
三項動詞 | e-rajke | 「~は~を~で殺す」 |
一項動詞 | jaj-rajke | 「~は自殺をする」 |
二項動詞 | e-jajrajke | 「~は~で自殺をする」 |
自動詞語基 | an | |
一項動詞 | an | 「~がある」 |
一項動詞 | hauxe-an | 「~が話す」 |
(直訳では「~の声がある」) | ||
他動詞語基 | nu | |
二項動詞 | nu | 「~が~を聞く」 |
三項動詞 | nu-re | 「~が~に~を聞かせる」 |
一項動詞 | i-nu | 「~が聴取する」 |
二項動詞 | inu-re | 「~が~に聴取させる」 |
動詞の機能を欠いた形は、接尾辞の助けにより動詞語基となることがある。 それらの形のなかで、子音+母音+子音という音節からなり、 擬音語の性格を持つものを、私は仮に「kvk語根」と呼ぶことにする。
kvk語根 | tok- (擬音語)「ボキッ」 | |
---|---|---|
一項動詞 | tok-kosanu | 「~は「ボキッ」と音がする」 |
kvk語根 | saux- (擬音語)「ザワ」「ユラリ」 | |
二項動詞 | saux-a | 「~は~をゆさぶる」 |
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