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 エスペラントとインターネットを使って世界中の先住民族どおしの直接の対話を実現しようとする「先住民族の対話」というオランダのエスペランチストが発案したプロジェクトがあります。
 2000年の12月に北海道伊達市において、「イタカンロー」というアイヌ語弁論大会において、エスペラ ント事業である「先住民族の対話」とHELで出版した「Ainaj Jukaroj」について、アイヌ語で簡単に発表をしました。その時に、前もって用意したエスペラン トとその事業の一つである「先住民族の対話」のパンフレット60部を、アイヌの人たちが大多数と思われる、イタカンローを訪れた一般の人たちに配布しました。その配布資料をここに示します。


(配布した資料・一ページ目)


エスペラントとは?

(日本エスペラント学会Japana Esperanto-Institutoのホームページより)

エスペラントは中立公平で学びやすい国際共通語です。

エスペラントは民族の言語や文化をその歴史的遺産として尊重し、大切にすると同時に、それぞれの言語や文化の橋渡しの役目を果たすことを目的としています。

現在、英語が事実上の国際語として使われている事実は否定できません。しかし、英語は特定の民族、国家の言葉です。英語でのコミュニケーションは英語を母語とする人々にとっては都合のよいことですが、外国語として勉強する必要のある人間にとっては不都合です。これは公正なことではありません。

エスペラントは1887年、当時ロシア領だったポーランドのユダヤ人眼科医ザメンホフ(L.L. Zamenhof, 写真右)が提案したものです。ヨーロッパ諸語の語彙を取り入れながら、文法を整理してあるので、比較的簡単に修得することができます。

2回の世界大戦などの社会的な激動の中を、エスペラントの使用者 (エスペランティスト)たちは中立公平な国際共通語の実践を続けてきました。ヨーロッパが活動の最も盛んな地域ですが、アジア、アメリカ、オセアニアそしてアフリカなど世界各地にエスペランティストがいます。東アジアでは日本の活動が有力ですが、韓国や中国にもしっかりした活動があります。特に中国は出版が盛んですし、中国国際放送は毎晩短波でエスペラント番組を放送しています。十数年前から続いていた日韓青年セミナーは95年から中国を加えた3ヶ国の青年エスペランティストの交流の場になりました。99年には第18回日韓中青年セミナーが滋賀県志賀町で開かれたように、3カ国回り持ちで会場が選ばれています。

世界の多くの文学作品がエスペラントに翻訳されており、原作の文学も数多く著されています。実用書や科学技術の専門書はそれに比べれば多くはありませんが、碁や空手、マッサージ、料理から中国哲学、経済学、気象学、解剖学にいたる幅広い分野の本が出版されています。歌のテープやCDもあります。

世界大会が毎年開かれている(1999年はベルリン市、2000年テルアビブ、2001年ザグレブ)ほか、大小さまざまな会合が催され、通訳のいない国際会議が実現されています。

日本では年一度の日本大会(1999年は長野県望月町、2000年熊本、2001年大阪府池田)の他、5月の全国合宿、夏または秋の林間学校などが大きな行事です。

プラハ宣言(1996年)は、現代社会におけるエスペラント語使用者の立場を明らかにするものです。エスペラントへの理解を深めるため、ぜひお読みください。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~jei/hp/materialo/prago_j.htm に、プラハ宣言(日本語)があります。


(配布した資料・二ページ目)


Indigxenaj Dialogoj 「先住民の対話」ってご存じですか?

 先住民族のことと国際補助語「エスペラント(語)」の直接のつながりのプロジェクト(計画)に、Indigxenaj Dialogoj 「先住民の対話」というのがあります。

 これは、エスペラント(語)とインターネットを通して、世界の様々な先住民族が相互に交流していこうというプログラムです。

 オランダで英語、ドイツ語、エスペラント(語)を教えている語学学校の経営者のとこ ろへ1998年5月に南アメリカのコスタリカの先住民族の人が、尋ねてき ました。その人と話しをしていて、先住民族が相互に交流したいと思っているのだが、なかなか言いたいことがうまく言えなくて困っているという話がありました。
 それを彼が聞いていて、自分のところは語学学校があるから、講習料はとらずに、先住民族が直接相互に話ができるように、語学とインターネットの講習会をやろうと考えて、1998年10月にアメリカで、世界先住民族会議があって、その時などに先住民族が集まる機会に参加者を募集しました。

 それが実際に実現したのが1999年9月で、オランダの語学学校で初めてエスペラント(語)とインターネットの講習会を行いました。その時は22人、18の先住民族が参加しました。ニューギニア、モロッコ、ルワンダ、ブルキナファソ、ロシア、アラスカ、コスタリカ(南米)、グラテマラ(南米)、チリ、インドの10数カ国です。3週間の集中講座です。
 1週間目は、朝から晩までエスペラントを勉強しました。講座のレポートによると、朝から晩までエスペラント漬けで講師も疲れたとありました。学ぶ方ももっと大変だったと思います。時間がないので集中的にやったと思います。
 2週間目は、エスペラントを使って、自分たちの民族のホームページを自分たちでつくました。色々な様々な先住民族のホームページを作りました。
 3週間目は、そのホームページで相互に交流したり、それぞれの民族の踊りとか歌の交流とか、ホームページを発展させて相互の問題とかを交換するプログラムでした。

 彼らのうちの半数は積極的にエスペラントを使い始めていて、残りの半数も学んだものを持ち帰って伝え、いずれはエスペラントを使い始まるだろうといわれています。第2回の講習会は1999年11月末から12人の参加で行われました。2005年までには少なくとも250以上の先住民族が参加する計画です。

 先住民族は、支配的な文化に対してオルタナティブ(代替案)を出す可能性があるといえるでしょう。違った世界観とか、違ったことばとか、違った文化とかを出してくることができます。それに関してエスペラントというのも、英語と対比がありますが、コミュニケーションの平等というエスペラントの基本理念により、違った形でもっといいコミュニケーションができるのではないかと一つの可能性を持っています。

 これは、コミュニケーションに関する一つのオルタナティブ(代替案)を提示しているのではないかと思います。そうした場合にエスペラントと先住民族という一見何の関係もない二つのオルタナティブ(代替案)ですが、今紹介した例のように結びついて運動を進めていき、発展していく可能性があると思います。

さらに詳細について聞きたい場合には、以下のところにお問い合わせください。

  (北海道エスペラント連盟の電子メールアドレス)

 北海道エスペラント連盟・事務局への連絡先
 001-0045
 北海道札幌市北区麻生町1-3-13, 3F ロンデタージョ



(配布した資料・三ページ目)


La Projekto "Indigxenaj Dialogoj"
プロジェクト「先住民族の対話」

Indigxenaj Popoloj estas la kuratoroj de netrotakseblaj naturaj kaj kulturaj valoroj. Ili estas ankaux la portantoj de esencaj sagxo kaj scio. Kaj tamen tre malmultaj registaroj konsideras ilin egalrangaj partneroj, aux ecx nur respektas iliajn elektojn aux apogas iliajn aspirojn. La dauxranta ruinigo de iliaj vivmedioj, iliaj lingvoj kaj iliaj mondoj, damagxas al ni cxiuj. La Jardeko por la Indigxenaj Popoloj, proklamita de UN (1995-2004) sxajnas ne bremsi tiun negativan evoluon.
先住民族は、評価できないほど貴重な自然と文化の遺産の保護者です。彼らはまた本質的な知恵と知識を身につけている人たちでもあります。しかし、かれらを同等のパートナーと考えたり、少しでも彼らの選択を尊重し、その願いを聞いてくれるような政府はほとんどありません。彼らの生活環境、言語と彼らの世界をずっと破壊し続けていることは、我々すべてに影響があるのです。国際連合によって宣言された先住民族のための十年(1995-2004) が、このマイナスの進行を抑制することはないと思われます。

Malgraux tio, la Organizoj de Indigxenaj Popoloj atingis rimarkindajn rezultojn dum la pasintaj jaroj ! Indigxenaj Popolaj devis cxiam batali por siaj rajtoj. CXie en la mondo, ili staras antaux similaj viv-minacaj defioj. Multaj Organizoj de Indigxenaj Popoloj nun kunlaboras por teksi tutmondan reton, por inversigi la tajdon de detruo. Ili konscias, ke pli intensa intersxangxo de informoj, scioj kaj spertoj grave akcelus la divastigon de kreemaj kaj efikaj alternativoj kaj tiel grave utilus al ili cxiuj. Tamen, libera komunikado inter Indigxenaj Popoloj estas ankoraux limigita.
それにもかかわらず、先住民族の組織は近年、注目すべき結論に達しました。先住民族は自分の権利を守るためにいつも戦わなければなりませんでした。世界のどこでも同様に、彼らは生活を脅かされています。先住民族の多くの組織は今、全世界的ネットを築き上げ、破壊の流れをひっくり返すために、協力しています。彼らは、より高度な情報、知識、経験の交換が、創造的で効果的な対策の普及を大いに促進することになり、みんなのためになることに気がつきました。しかし先住民族間の自由なコミュニケーションは、まだ限られたものです。

Komunikado 通信

La manko de unu komuna lingvo kaj limigita aliro al moderna komunikado ludas decidan rolon en tio. La indigxenaj popoloj dependas, por siaj interkulturaj kontaktoj, grandparte je tradukistoj kaj interpretistoj, kio kauxzas konsiderindan perdon de tempo, mono kaj nuancoj. La uzo de ponto-lingvoj (ekzemple la Angla, Hispana, Franca, aux Rusa...) ne prezentas kontentigan alternativon je monda nivelo. Kiel la aferoj statas nun, reprezentantoj de Indigxenaj Popoloj ofte komunikigxas nur kun tiuj kiuj kapablas paroli la saman pontolingvon. Do, kiel sxangxi tion?

一つの共通語がなく、現代的なコミュニケーションへのアクセスが制限されていることは、決定的な影響があります。先住民族は、相互の文化交流のために、時間、お金、ニュアンスを失うことの多い、翻訳者や通訳に大部分依存しています。橋渡し言語(たとえば、英語、スペイン語、フランス語、ロシア語、、、)の使用は、世界のどこをみても満足な結果になっていません。先住民族の代表者が同じ橋渡し言語で話せるときだけ、話が通ずるのが普通、というのが現状です。では、どうしたらいいでしょうか?

La projekto I.D. プロジェクト I.D「先住民族の対話」

Indigxenaj Dialogoj celas fortigi la Organizojn de Indigxenaj Popoloj, disponigante al ili la rimedojn por plena kaj rekta komunikado inter ili. La kombino de Esperanto kaj modernaj komunikadaj sistemoj malfermos vojon por optimuma uzo kaj solida vastigo de internaciaj indigxenaj retoj. Por atingi altkvalitan komunikadon je malaltaj kostoj, la kontaktpersonoj de Organizoj de Indigxenaj Popoloj devus lerni:

このプロジェクトは、先住民族の間で、直接完全なコミュニケーションができるようにして、先住民族の組織を強化するのを目指しています。エスペラントと現代的なコミュニケーション・システムの組み合わせは、持続的な先住民族の国際ネットの確実な拡張への道を開くでしょう。安価で高品質のコミュニケーションを得るためには、先住民族組織の渉外担当者は、以下のことを学ぶ必要があります。

paroli kaj skribi Esperanton flue
uzi fakson kaj retposxton efike
enkonduki la uzon de tiuj kapabloj interne de siaj Organizoj.
Por ebligi tion, la projekto ID ofertas tri-semajnajn kursojn kun utiligo de la plej bonaj instrumetodoj. ID esperas trejni 250 delegitojn antaux la jaro 2005. La unua kurso por 20 partoprenantoj okazis en Nederlando de la 29a de auxgusto gxis la 19a de septembro 1999.

・流暢にエスペラントを話したり、書いたりすること。
・ファックスと電子メールを効果的に使うこと。
・自分の組織の内部でその能力を活用すること。
それを可能にするため、プロジェクト ID は、最も良い教授方法を活用した3週間の講義を提案しています。IDは、2005年までに 250人の代表を養成するつもりです。20人の参加者に対する最初の講座は、1999年8 月29日から9 月19日まで、オランダで開かれました。

Por pli da informoj rilate tiun gravan projekton, vizitu la retsituon:
この重要なプロジェクトのさらに詳しい情報は、次の場所にあります。
http://www.idnetwork.nl/central/esp/

Loida CUMES-SIMON
Gvatemalo  グアテマラ


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