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アイヌ語新聞「アイヌタイムズ」の記事

(第18号、2001年(平成13年)6月21日(月)アイヌ語ペンクラブ発行 7〜9ページ引用)

「シケペニ」

sikerpeni

1. 赤字は、アイヌ語です。

2. 赤字のイタリック文字は、日本語です。相当することばが、アイヌ語にありませんでした。

3. 山形記号「^」は、日本語の長母音を示しています。

4. 版権は、アイヌ語ペンクラブにあります。


アイヌの人たちは、キハダの実を混ぜ煮に入れて食べたり団子につけて食べました。
aynu utar anak rataskep or sikerpe omare wa e hine sito usi wa e ruwe ne.

キハダの実は、たいへん苦いものです。私は、一度食べた時に、一体苦いものだろうか、甘いものだろうかとその味にびっくりしました。
sikerpe kera anak sino siw. arsuy k=e hi ta, siw pe he ne ya, topen pe he ne ya, keraha k=eramukoesikari.

川上まつ子さんは、次のように言いました:「キハダの実は私は嫌いだから、混ぜ煮に入れて食べたことがない。おばあさんは、バアソブの混ぜ煮を作るとそれだけをお前は食べてキハダの実を煮るといやがるといって怒りました。」
Kawakami Matuko katkemat ene hawean hi; "sikerpe k=e emaka kusu rataskep or sikerpe a=omare wa k=e eramiskari. huci anak muk rataskep ku=kar kor patek e=e sikerpe ku=supa kor en=koemaka sekor ye wa iruska."

青木愛子さんは、次のように言いました:「キハダの実とフッキソウとエゾニワトコの青い内皮と一緒に煎じて飲みました。心臓の病気やら、肝臓・腎臓の病気やら、何か病気があると飲みました。」
Aoki Aiko katkemat ene hawean hi; "sikerpe neya yuktopakina neya sokoni or un an siwnin kapu neya turano a=popte wa a=ku ruwe ne. sampe tasum ne ya, kinop tasum ne ya, nep ka tasum an kor a=ku ruwe ne."

幌別では、キハダの実を煮て潰して、笊(ざる)に上げて、種子を除きました。それを煮詰めて、喘息になった時飲みました。
Poro-pet (Horobetu) or ta sikerpe a=suwe wa a=konere wa, icari or un a=yanke wa piye a=uyna. newaanpe a=popte hine, wen-omkekar=an hi ta a=ku ruwe ne.

キハダの木の皮をはぎ、黄色いものを取って薬にしました。
sikerpeni kapu a=sospa wa, siwnin pe a=uyna wa kusuri ne a=kar.

川上まつ子さんは、次のように言いました:「胃が痛い時に、キハダの木の皮を煎じて飲みました。」
Kawakami Matuko katkemat ene hawean hi; "ku=sampe arka wa kusu sikerpe kap ku=popte wa ku=ku."

中本ムツ子さんは、次のように言いました:「おなかが痛んだときは、母はキハダの皮を削り黄色い部分を取ります。 。。。 母は黄色い部分を細かく削って、水と一緒に飲ましてくれました。」
Nakamoto Mutuko katkemat ene hawean hi; "ku=honihi arka kor ku=kor totto sikerpeni kap kep wa siwnin pe uk. ... siwnin pe kerkeri wa wakka tura en=kure."

青木愛子さんは次のように言いました:「キハダの内皮を煎じた液を綿や指につけて、湿疹のところに塗ったり、唇がただれた時、この内皮を煎じた液を薄くのばして、唇を拭きました。
打ち身で腫れたときは、タンポポを乾かしてつぶし、キハダの木の皮を煎じてその汁を混ぜる。それを腫れたところにつけるとよくなります。冬になると、フキでもゴボウでも、煮て乾かしてつぶし、キハダの木の汁を混ぜて打ち身の薬にします。」
Aoki Aiko katkema ene hawean hi; "sikerpeni kapu a=popte wa uwehe wata neya askepet neya a=usi wa newaanpe hup a=usi. patoy hup hi ta, uwehe kapanno a=pirasa wa patoy a=pirpa.
totce=an hi ta anakne, honoynoyep a=satke wa a=konere hine, sikerpeni kapu a=popte wa uwehe a=kopoye. newaanpe totce hi a=usi yak pirka. mata an kor, korkoni ne ya,
setakorkoni ne ya, a=popte wa a=satke wa a=konere hine, sikerpeni uwehe a=kopoye wa totce kusuri ne a=kar."

豊浦では、目が悪くなると、シコロの木の皮を水に浸けて、その水で目を洗いました。
Pepe (Toyoura) or ta, a=sikihi wen kor, sikerpeni kapu wor a=o wa, ne wakka ani a=sikihi a=huraye ruwe ne.

シケレペニは、「Phellodendron amurense Ruprecht」という学名です。そのラテン語の意味は、「アムールの辺りに生えるコルクの木」です。日本ではキハダ(ミカン科)と言う名前です。
sikerpeni anakne, "Phellodendron amurense Ruprecht" sekor gakumei an. ne raten-go itak'ipe anak "amu^ru or us koruku-ni" ne. sisam or ta kihada (mikan-ka) sekor re an.

シコロの木は、日本、朝鮮半島、中国東北部、ウスリー、アムールの辺りに生えているものです。山の木であり、15から20メートルほど伸びるものです。
sikerpeni anakne, Nippon, Tyo^sen-hanto^, Tyu^goku-to^hokubu, Usuri^, Amu^ru or us pe ne. kim un cikuni ne wa, 15 orwa 20 me^toru pakno tuk pe ne ruwe ne.

(シコロの木の)黄色い皮は、漢方では黄柏と呼ばれるもので、(アイヌと)同じように薬になるものです。
siwnin kapuhu anakne, kanpo^ or ta o^baku sekor a=ye p ne wa, uneno kusuri ne a=kar pe ne.

黄柏成分は、以下の通り。ベルベリン、パルマチン、マグノフロリン、それから苦いものの元である、オーバクリン、リモニン、そしてリノール酸もあります。
o^baku seibun anak ene an i; beruberin, parumatin, magunohurorin, orowa siw pe motoho ne, o^bakurin, rimonin, orowa rino^rusan ka an.

ベルベリンと呼ばれる物は、黄色ブドウ球菌でも、赤痢菌でも、悪い病気の元を無くするものであると言います。それは打ち身の腫れも良くするものであると言います。
beruberin sekor a=ye p anakne, o^syokubudo^kyu^kin neya sekirikin neya, wen siyeye motoho isamka kuni p ne yak a=ye. newaanpe totce ka pirkare kuni p ne yak a=ye.


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