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アイヌ語新聞「アイヌタイムズ」の記事

(第23号、2002年(平成14年)9月30日(月)アイヌ語ペンクラブ発行 8〜10ページ引用)

「ラウラウ(コウライナンテンショウ)」

rawraw

1. 赤字は、アイヌ語です。

2. 赤字のイタリック文字は、日本語です。相当することばが、アイヌ語にありませんでした。

3. 山形記号「^」は、日本語の長母音を示しています。

4. 版権は、アイヌ語ペンクラブにあります。


ラウラウ(コウライテンナンショウ)
rawraw

秋の終わりごろ、果実が赤くなってから、ラウラウの根を掘って、炉の中の熱い灰の中に入れて焼いて食べました。
cuk kes ta, numi hure kor rawraw a=ta wa, ape or un sesek una or a=oamre wa a=ma wa a=e ruwe ne.

ただし、根の黄色い部分は有毒なので削り取らなければなりません。
korka, siwnin uske surku ne kusu a=eraske p ne ruwe ne.

ラウラウをふかして、私も食べると、甘みがあってジャガイモのような味がしました。その時、充分に毒を削り取られていなかったので、舌がしびれてしまいました。
rawraw a=suwe wa, kani ka k=e akusu, topen wa emo neno kera an. ne hi ta, surku pirkano a=eraske ka somo ki kusu, ku=parunpe tukunne humi ne.

青木愛子さんは次のように言いました;「フチ(おばあさん)はラウラウの根を掘ってきました。フチは、『長生きの素だ』と言って食べました。
Aoki Aiko katkemat ene hawean hi; "huci rawraw ta wa ek. huci anak 'tanpe kusuri ne k=e yakun, ney ta pakno ku=iwanke' sekor ye.

母親は、『もし間違ったら困るから食べるな』と言いました。だから私は食べたことがありません。」
ku=kor hapo anak 'ehosi e=iki yak wen na, itekki e!' sekor ye. kusu, k=e ka eramiskari." sekor hawean.

毒の元はシュウ酸カルシウムというもので、ラウラウを手で触れると、かゆくなって赤く触れます。間違って毒を食べると、舌、のどが赤くなって腫れます。重症だと窒息する人もいます。
ne surku motoho syu^sankarusiumu sekor a=ye p ne wa, rawraw tek ani a=kere yakun mayayke wa hup ruwe ne. ehosino surku a=e yakun, a=parunpe, a=rekuci arka wa hup. ne siyeye wen yakun, tasu tuy kur ka an.

腹に虫がわいた時に、黄色い部分を舌に触れないようにして丸呑みしました。
honi or un tuy-kikir an hi ta, siwnin uske a=parunpe kere somo ki no a=ruki ruwe ne.

青木愛子さんは言いました;関節が腫れる場合にラウラウを掘ってきて、それをすって塗るとよくなりました。
Aoki Aiko katkemat ene hawean hi; a=kirouske hup hi ta rawraw a=ta wa arki=an wa, newaanpe a=sirsiru wa a=koraci yak pirka ruwe ne.

すって麦粉を混ぜて、腫れているところに塗ります。
a=sirsiru wa munki koho a=ukopoye wa, hup or a=usi.

田畑アキさんは言いました;ラウラウの根をすって、ぼろきれに包んで、それを腫れたところにつけてしばりました。
Tabata Aki katkemat ene hawean hi; rawraw a=sirsiru wa senkari a=kokari wa newaanpe hup or a=kosina ruwe ne.

ラウラウは日本ではコウライテンナンショウ(サトイモ科)という名前です。
rawraw anakne sisam or ta ko^raitennansyo^ (satoimo-ka) sekor re an.

北海道、東北地方、関東地方から近畿地方までの太平洋沿岸、中国東北地方(満州)、朝鮮半島、サハリン、千島に生えています。山に自生します。
aynumosir, Tohokutiho^, Kanto^tiho^ wano Kinkitiho^ pakno an Taihe^yo^engan, Tyu^goku-to^hoku-tiho^ (Mansyu^), Tyo^sen-hanto^, Saharin (Karapto), Tisima or us pe ne. kim us pe ne.

漢方では根を乾燥したものを天南星(テンナンショウ)と呼ばれています。
kanpo^ or ta a=satke rawraw tennansyo^ sekor a=ye p ne.

それで痰を取り除くことができ、腫れをひかすこともできると言われています。抗腫瘍性もあると言われています。
ani ratkar=an easkay, totce hi a=pirkare ka easkay yak a=ye. ko^syuyo^sei ka kor pe ne yak a=ye.


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