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アイヌ語新聞「アイヌタイムズ」の記事

(第21号、2002年(平成14年)3月20日(水)アイヌ語ペンクラブ発行 2〜4ページ引用)

「エント(ナギナタコウジュ)」

ento

1. 赤字は、アイヌ語です。

2. 赤字のイタリック文字は、日本語です。相当することばが、アイヌ語にありませんでした。

3. 山形記号「^」は、日本語の長母音を示しています。

4. 版権は、アイヌ語ペンクラブにあります。


エント(ナギナタコウジュ)
ento

エント(ナギナタコウジュ)は、匂いが強いので、病の神がいやがると言われています。
ento hura ruy pe ne kusu, payoka-kamuy emaka sekor a=ye.

別の名は、セタエントやセタントとも言います。
oya rehe anak, setaento neya setanto sekor a=ye.

川上まつ子さんは、次のように言いました:「何でもサヨさエント入れたり、キキンニ入れたりして食べるのが好きであったんだべね。わしらの口には、あんまり好きでなくてくさい物、くさい物っていえば、おっかあ笑ったり怒ったり、こういうの食べてれば病気しないんだっていったもんだけど。」
Kawai Matuko katkemat ene hawean i; "nep ne yakka sayo or ento a=omare ka ki, kikinni a=omare ka ki wa, a=e ruwe ne. hura ruy pe kusu k=e emaka sekor ku=ye kor, ku=kor hapo mina ka iruska ka ki kor, tanpe e=e yak somo e=siyeye p ne sekor hawean".

中本ムツ子さんは、次のように言いました:「頭が痛くなると、母はナギナタコウジュを取りに外に行きました。あかゆの中に入れてさじで食べさせてくれました。」
Nakamoto Mutuko katkemat ene hawean hi; "ku=sapaha arka kor ku=kor totto satanto kar kusu soy ta arpa. sayo or setanto omare wa pon kasup ani en=ere."

「知里真志保の分類アイヌ語辞典」には、こう書かれています:
"Tiri-Masiho-no-bunrui-aynu-go-ziten" kampi ka ta, ene a=nuye hi;

「莖(くき)葉は、多量に採取して、陰干しにして、お茶のようにして飲みました。風邪にかかった時も、これを煎じて飲みました。」
"ento poronno a=kar wa, a=satke wa a=popte wa a=ku ruwe ne. omkekar=an hi ta ka neno iki=an ruwe ne".

青木愛子さんは、次のように言いました:「サタエントを水から煮立て、その蒸気を吸わせます。この時、鍋を下ろして、その鍋の上に顔をもっていき、蒸気を吸います。頭から毛布か何かをすっぽりかぶせると蒸気は逃げず、患者は全身から汗をかいて、風邪が抜けます。この治療の時、セタエントの煮汁を飲んでも発汗します。この蒸気を吸う方法をヤイスマウカラ(yay-su-maw-kar)と言います。」
Aoki Aiko katkemat ene hawean i; "wakka or setaento a=omare wa a=popte wa, usey mawe a=seru ruwe ne. siyeye kur sapaha un mo^hu ka nep ka a=kamure kor, pirkano seru wa poppetaasin kusu, omke pirka ruwe ne. uwehe a=ku yakka poppetaasin=an ruwe ne. ene iki=an hi yaymawkar ne sekor a=ye p ne ruwe ne".

エントは、日本、アジア、ロシア、ヨーロッパに生えています。山に生えたり、道ばたに生えます。
ento anak Nippon, Azia, Rosia, Yo^roppa or us pe ne. kim ta neya ru taksam ta neya an pe ne ruwe ne.

30cmから60cmほどになり、秋には花穂(かすい)がなります。
30cm wano 60cm pakno na wa, sircuk kor pusi an ruwe ne.

花穂(かすい)はナギナタのようなので、日本ではナギナタコウジュ(シソ科)という名前です。
pusi anak naginata koraci an kusu, sisam or ta naginatako^zyu (siso-ka) sekor re an.

エントは、「Elsholtzia ciliata」という学名です。「ciliata」は、緑毛のあるものという意味です。
ento anak "Elsholtzia ciliata" sekor gakumai an. "ciliata" itak'ipe anak, "siwnin numa us pe" ne.

漢方では、香ジュ(ジュは、草かんむりに需)と呼ばれます。
konpo^ or ta, "ko^zyu" sekor a=ye p ne.

エントには、少しの精油を含んでいます。
ento or ponno seiyu o ruwe ne.

精油は強い匂いの元です。
seiyu an kusu hura ruy pe ne.

精油成分には、エルショルチアケトンやナギナタケトンなどがあります。
seiyu or ta Erusyorutiaketon neya Naginataketon neya, usa okay pe an.

精油は、血行を盛んにし、発汗を促進し、解熱する作用があると言われています。
seiyu ani kekko^ a=pirkare wa, poronno poppetaasin=an wa, omkekar a=pirkare p ne sekor a=ye ruwe ne.


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